最初は小さなミスやトラブルだったものや、ちょっとした認識の違いだったものが大きなトラブルやクレームに発展することがある。
口は災いの元と言うが、こういうものは余計なひと言が原因であることも多い。
ただ、その余計なひと言は必ずしも悪意があって口にしているものとは限らない。だからこそ怖い。
相手を怒らせる意図などなくても、無意識に自然と口に出てしまう本音というものがあるが、それが出ないようにするには訓練や教育も必要なのだろう。

顧客を怒らせるために言っているのかと尋ねたら、恐らく本人はびっくりして「いや、そんなつもりはありません」と否定する。
では何故そういうことをいちいち口にするのか?という疑問符しか思い浮かばない対応がある。

謝罪をしに行っているにもかかわらず、「そう言われましても困ります」と本音を言ってしまったり、「ではどうしたらいいのですか?」と無責任で的外れな逆質問をしたり…。

あっという間に弱者から強者へと成り変わった大手運輸会社の対応には呆れるばかりだ。
予め数日前に予約を済ませていた荷物の集荷があったのだが、予約後にこの度の集中豪雨によって災害が発生した。だが何の連絡もなく集荷日を迎え、希望していた時間通りに集荷担当者が現れた。
そして開口一番、「集荷しても希望日に着くかどうか分からないので、集荷をお断りします。」と発言した。

可能性として、今回の被害ではそういうことがあり得ることは理解できる。だが、「それは、集荷する時になって言うことなのか?」という疑問は残る。なので一応尋ねた。
すると、予想外の言葉を彼が口にした。「そう言われましても困ります。」
出た。これぞNGワード。喧嘩腰でもなく、無意識に意図なく発する本音。躾のされていない犬の無駄吠えのようなものだ。

そりゃ困るのだろうが、私は集荷ドライバーの相談相手ではない。仕事を依頼した顧客だ。この場合、どう考えても困るのは仕事を依頼した側だ。

「困る?誰が?私じゃなく、おたくが?」何を言っても無駄だと悟った瞬間だった。
『頭に来てもアホとは戦うな!』という本も売れるわけだ。
別に謝って欲しかった訳でもないが、「そう言われても困る」としか言えない可哀想な担当者を前に、そのまま怒りを継続させる気も失せた。

ただただ、こんな社員教育でも強気の商売ができるようになった運送会社が羨ましい。

「何を(WHAT)するか」よりも「どのように(HOW)するか」。
果たして同様の対応を会社から命じられた他の集荷担当者は、ファンを増やしたのだろうか、それとも減らしたのだろうか。
Back Number -412号掲載分-